「大体、中学でトップ5に入っていた奴なら、普通に授業を聞いてれば、ある程度はとれるはずだろ。」
「何かあったんじゃない?」

 杵築は責めるように、愛花ちゃんは心配そうに蓮くんを見ている。


「特に何もないけど~。」
「こいつ、家にいるときは、ネットゲームしかしてないんで。」

 蓮くんは「食事もしてるけどな!」と、危機感皆無の様子である。


 2年生は生徒会の仕事が忙しいので。進学も決まって暇な私たちが、放課後に交替で蓮くんの勉強をみることに決まったのだった。


※※※※


 目下の課題は、10月下旬に行なわれる、中間テスト対策だ。

 初日を担当した杵築は、蓮くんについて、「馬鹿ではないが、やる気がない」と苛ついていた。


 二日目に佐々木くんが担当したときには、開始後30分くらいで、蓮くんが「今日はありがとうございました!」と、勝手に帰ってしまったそうなので。

 三日目の三杉の担当日からは、脱走防止のため、圭くんも一緒に勉強することになった。
 

 四日目の木曜日は、私の担当日。事前に決まっていた空き部屋に行くと、中には圭くん一人しかいない。