――良かったあぁ~。


 私は奇跡的に、ボロを出さずに済んだのだ。
 これで無事に、王明学園の権威は保たれたし、愛花ちゃんも紗和子さんに勝つことができ、めでたしめでたしではないだろうか。


 しかも、余談ではあるが、三杉と私は、当日の最優秀ペアに選ばれた。

 一流に残ったのは、杵築と愛花ちゃんペアも同じだったけれど。今日の一連の受け答えや、テーブルマナーなどが、総合的に考慮された結果だそうだ。


 帰り際に、紗和子さんは私を呼び止め、「今日は完敗でしたわ。また、次の機会があれば……。」と言い残して去って行った。


――いやいや。私に言っても、意味ないし。あなたのライバルは、あっちの愛花ちゃん!

 父娘して、勘違いが過ぎるようである。