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 今回の格付け大会では、一人ずつ単独で答えるような問題はなく、ペアの二人で話し合って回答を決めれば良いらしい。

 そのため、杵築ペアにおいては杵築、三杉ペアにおいては三杉の回答を優先するということに、方針が決まった。やむを得ないと思う。


 事前に発表された出場者名簿には、清和女学院の代表の欄に、白鴎紗和子さんの名前があった。


――やっぱりだ。


 企画を聞いたときから、何か裏があるような気がしていた。この格付大会は、杵築の婚約者を決める勝負の、第2ラウンドなのだ。

 だとすると、杵築本人が、候補者の一方である愛花ちゃんとペアを組んでいるのは、公平に反する気がしなくもないけれど。

 ゲームストーリー的には、杵築と愛花ちゃんが、手と手を取り合って優勝できれば、大団円なのかな?


「今日は使用人一同、自宅で配信を見ますから。お嬢様の『そっくりさん』が映ることのないよう、祈っています。」

 春名さんは私にプレッシャーをかけながら、鞄を渡してきた。そう、今日の大会は、在校生の保護者にまで配信されることになっている。


 小心者の私は、胸がギュッと絞まるような感覚に耐えながら、トボトボと登校していった。