「はじめまして、私、月乃愛花です。」

 愛花ちゃんは、いつもの愛らしい笑顔でニッコリと話しかけた。

「白鴎さんも、高校生だよね。何年生なのかな?」

 愛花ちゃんは、きっと良かれと思って、フレンドリーに話しかけた。
 けれども、少し離れたところで見ていた人たちが、不穏な感じにザワッとしたのが分かった。


 白鴎家は、由緒正しい名家だ。

 学校の中であればともかく、社交の場で、愛花ちゃんの話しかけ方は気安過ぎる。


「裕也さんと同じ、3年生ですわ。皆様とも同学年であると、伺っております。」

 紗和子さん本人は、気分を害した様子も見せず、はにかみながら答えた。
 どうやら、見た目だけではなく、性格まで良い、守ってあげたくなるタイプの女の子のようだ。