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 次の日、帰りの新幹線にて。
 私は佐々木くんの執事さんから、お礼を言われた。

「百佳様には、これまでのこと、お礼を言っても言いきれません。」
「それほどのことは、何もしてませんけど……。」 
 
 本当に。今回の視察なんて、佐々木くん家のお金で飲んだり食べたり、旅行を楽しんだだけだ。


「この婚活ツアーも、良い企画になりそうです。」 
「ホントですね。私も、今後、相手が見つからなければ、ぜひ参加したいです。」

 できれば、友人割引で。
 オススメの男性参加者を耳打ちしてもらえたら、なお有難い。


「その場合は、ツアーに参加するよりも、どうぞ遠慮なく、当家へお嫁にいらして下さい。」
「あはははー。」 

 執事さんの冗談に笑っていると、新幹線がちょうど駅に止まった。
 

 荷物を降ろすためにバタバタしていたので。
 授かり婚も歓迎ですよ、と言う声は、耳に入らなかった。