「すみません。大丈夫なので、ありがとうございます。」
「ほんとに、大丈夫か? 男の声も聞こえたが。」

 田上先生は、私をちらっと見て言った。

――げげ。寝相が悪かったせいだろう、浴衣がかなり、はだけている。


「トラブルがあったなら、言え。」
「いえ、ほんとに、大丈夫なので。」

 私はトイレに行きたいのだ。

 尿意が危機的状況だった私は「失礼します」と言い残し、その場をサッと後にした。



 次の朝。

 瞳ちゃんから、夜中に女のお化けが出たらしいと、聞いた。私には心当たりがあったけれど、何も言わなかった。

 さらにその後、田上先生から、「少し話そう。一人で抱え込みすぎるな」と声をかけられた。

 相談するような悩みなんてないのに、金○先生の見過ぎだと思う。