「一昨日買った景品は、また後日、別のイベントに使うとして。今回はとりあえず即席で、何か買ったらどうですか?」

 私は提案した。
 お菓子の詰め合わせとか、お土産品を買うとかなら、今からでもできるはずだ。


「やむを得ませんね。」
「ここで買える物は、限られるけど、どうしようも……。」

 皆、微妙な顔をしているけれど、他に方法がない。
 予算はほぼ使い果たしているので、大したものは買えないだろう。経理上、個人のお金を出すわけにもいかない。


 そのとき。私は、ふと、杵築のファンと思われる女子たちが、杵築を見ていることに気が付いた。
 私の視線を追うように、その子たちを見た佐々木くんが、ボソリと呟いた。


「『元・生徒会長と、ボートに乗れる券』なら、需要あるかも……。」