「で、どこに行けばいい。」

「決まってないんですか?」
「だから、お前らを呼んだんだろ。欲しい物を言ってくれれば、行き先も決まる。」

 うーむ。ビンゴ大会で、自分が当たる可能性もあるのだから、ここは遠慮なく、欲しい物をリクエストした方が良いのだろうな。


「商品券とか、旅行券はどうですか。」
 
 皆が一斉に、残念な感じの目で、私を見た。


――しまった、外したみたい。正直な願望を言い過ぎたか。
  

「……それはちょっと。」
「お前、前々から思っていたが、まさか本当に金に困っているのか。」
 
 微妙な顔をする愛花ちゃんと、信じがたいという顔の杵築。


――げげげ。杵築に、黒瀬グループの経営不審疑惑をかけられたら、信用問題に発展する。


「そうじゃないですよ。色んな案を出した方が良いと思って、一般論として、言ってみただけじゃないですか。」 

「あー、普通のビンゴ大会なら、それも良いんだろうが。学園のイベントで、生徒に金券を配るのは、まずいだろうな。」

 田上先生のコメントに、納得する。
 しかも、王明の生徒は、大概、金持ちだから、金券を貰ったところで大して嬉しくもないだろう。