怒りながら三杉を突き飛ばしたその男は。しかし、三杉から渡されたものを見て、目の色を変えた。


『これは――。』

 その様子を見た他の男たちも、ザワザワと赤髪男に集まっていく。


――何を渡したの?
 
 事態がのみこめなかった私は。
 次に聞こえてきた日本語で、我に返った。


「――行け。」

――!

 そうだ。今は、ぼーっと見ている場合じゃない。


 私たち3人は、三杉の後ろを通り抜けて、直ちに家の外に出た。一人残った三杉が心配で、振り返ると、三杉もあとから外に出てきた。

 私は思わず、駆け寄ったけれど。聞きたいことが色々あり過ぎて、言葉にならない。


 三杉はようやく、私の顔を見て、声をかけた。


「――アホ。」

 うぅ……。


 早く、ここから離れるぞと。頭をぐしゃっとされて。

 なぜかちょっと、涙が出た。