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 さて、愛花ちゃんは、トルコへ出発する前に、何とか松葉杖が外れたようだ。

 けれど、エフェソスの遺跡の道は大理石でできており、地面がツルツル滑ってしまう。

 まだ本調子でないのか、転びかけている愛花ちゃんに、三杉は無言で歩み寄った。愛花ちゃんは当然のように、三杉の腕に掴まって歩いている。


「まさか、あの二人、付き合ってるの?」

 小声で私に聞いてくる、優奈ちゃん。

「……分からない。」

 実は、私もちょっとモヤモヤしているのだ。


 何なんだろう、三杉のあの態度。いくら、一緒にいるときに愛花ちゃんが怪我したからって、あそこまでする必要があるのだろうか。

 愛花ちゃんも、ちょっと、三杉に頼り過ぎではないだろうか。


 私が口出しすることでもないけれど。
でも何だか、愛花ちゃんと三杉の距離が近づいた分、私は三杉と距離ができちゃったみたいだ。