「あの。たしかにあの人、怖かったし、気持ち悪いですけど。こうして助けてもらえたので、処分まではいいです。

 掃除の続きを彼一人でやってもらうくらいは、お願いできたら嬉しいかな〜と、思うけど……。」


 二人は、目を見開いた。


「お前は、それでいいのか。」

「貴方という人は……。あんなゴミ屑にまで情をかけるなど。どれだけ甘いのですか!」

 いやいや、客観的に考えて、あれだけのことで退学という方が、行き過ぎだろう。


「人の人生を変えるような処分は、もっと慎重に行うべきです。 
 処分をする方だって、後味が悪いし、逆恨みをされるかもしれないし……。」

 半分以上は、将来の自分の保身を考えての意見だ。


 私の意見を聞いた、彼らが、簡単に人を処罰する考えを改めてくれたのかどうかは、分からないけれど。

 最終的には、ことを大きくすると私にも不名誉であるという理由で、処分を求めないことに納得してくれたようだ。


 羽村は、「公的な処分はしませんよ、公的にはね……。」と繰り返していたけれど、意味は分からない。


 いずれにしても、今日は本当に、散々な目にあった。

 彼は、愛花ちゃんにも変な執着を見せていたから、ちょっと気をつけた方がいいのかも。

 たまたま、私が清掃担当を変わったことは、正解だったのかもしれない。