「月乃さんじゃ、なかったの?」

 担当表を見て、愛花ちゃんと一緒の清掃を期待していたようだ。
 顔に覚えがないので、恐らく、高等科から入ってきた外部生だと思う。


「あーあ。月乃さんが良かったのに。」

 男子は下を向きながら、ブツブツと呟いている。気持ちは分かるけど、何だかちょっと不気味だ。

 それに、私を知らないのだろうか、この私に対して、こんなことを正面から言う点でも、何だか変わっている。


 私と男子は、とりあえず、袋を一枚ずつ持って、林の中に入った。さっさとゴミを拾って、終わらせたいけれど……。

 低い位置のクモの巣に気付かず、私はうっかり、糸の中に突っ込んでしまった。