次の月曜日、学校に行くと、昇降口で杵築と鉢合わせた。


「――黒瀬か?」 

 と一瞬驚いた後。子どもみたいになったな、とよく分からないコメントをされた。


「……後で、生徒会室に来い。」

 仕事をたくさんやる、と言われたけれど。今はそんなに仕事が溜まっていない時期のはずだし、どういうことだろう。


 教室に行くと、優奈ちゃんが来ていた。

「髪切ったのね! すごく似合うわ。可愛い。」
 と、嬉しい評価。


「――でも。」

「?」

「思い切ったわね、このタイミングで切るなんて。
 金曜がバレンタインだったでしょ。休みを挟んで、これだけバッサリ切って、登校してたら――。
 まさか本当に当たって砕けたの?」 


――そ れ だ!

 
 気付かなかった。たまたま、本当にたまたま、このタイミングで美容院を変えただけなのに。

 朝から感じる、皆の、何とも言えない視線。単に髪を切ったから、注目されていたわけではなく。
 失恋したかもと、思われていたのか……。


 私は灰になった。