気まずい沈黙を破るように、佐々木くんが、珍しく声をあげた。

「そ、そうだ。俺も、ゲーム持ってきたけど。やる?」
「や、やる!!」 

 私も、すぐさま、同調した。


 愛花ちゃんは、まだ10円ゲームを続けたかったみたいで、「え~、これからが面白いとこなのに。」と言っていたけれど。

 ごめんよ。
 これ以上きわどい質問は、心臓がもたなさそうだから。


※※※※


 その後は、佐々木くんの持ってきた最新ゲームを楽しんで、和やかにクリスマス会が終了した。

 けれども私は、今日、自覚を新たにした。


――やっぱりこの世界は、ゲームの世界なんだ。


 はじめから分かっていたことなのに。
 何だか最近、生徒会メンバーと過ごす時間が、心地良くなってきて、私は忘れそうになっていた。


 ヒロイン・愛花ちゃんによる攻略は、たぶん、着実に進んでいる。
 もし、ゲームどおりになるのなら――、愛花ちゃんが誰を選んでも、私は3年の卒業パーティーの日に断罪されることになる。