私は、庭の隅で一人で砂遊びをしている男の子に、「まぜてー。」と話しかけた。
 男の子はじっと砂の方を見ながら、「いいよ。」と答えてくれた。

 喜んだ私が、張り切って、男の子の作っているお城に、葉っぱの旗を立てたところ……。

「あー! さわらないでよ!!」
 男の子は怒ってしまった。

――ええー! まぜてくれるって、言ったのに~。


 「おねえちゃんは、こっちにつくって。」と隣のスペースを指差すので。
 どうやら隣に別の城を作れ、ということらしい。

 男の子と私は、黙々と、各々、別のお城を作り続けたけれど……、これ、一緒に遊んでるって言えるのかな?


 結局、終了時間まで、男の子と私は砂の城を作り続けて、かなり大きいものができた。
 私が「すごいのできたねー。」と言うと、男の子はちょっと嬉しそうな顔をした。


 遊びの時間が終わり、ボランティアの生徒は帰るということになったとき。
 「ばいばい。」と言って帰ろうとすると、あんなに素っ気なかった男の子が、私のスカートをギュッと掴んだ。

 様子を見ていたシスターは、「この子が懐くなんて珍しいわ。」と驚いている。

 ほとんど、会話もしていないけれど。
 何だか、男の子と離れ難かった。