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 まず最初に、全員がコマとなる車を選んだ。

 冒頭で、車が止まるマスによって、各々の「職業」が決まる。
 「職業」が決まれば、その後、「給料」のマスを通過する度に、それぞれの職業に応じて定められた給料を、受け取ることができるのだ。


 羽村は「医者」、三杉と愛花ちゃんは「建築家」、佐々木くんは「タレント」、私は「弁護士」に決まった。

 杵築は最初、「プログラマー」のマスに止まったにも関わらず、もっと高収入の仕事が良いと言って、「プログラマーにはならない」と選択した。
 しかし、その後、他の職業のマスに止まることができないまま、「無職」になってしまった。 


――ククク。

 生まれながらに、王様のように人の上に立ってきた杵築が、一人だけ「無職」。
 これで普通の人生の困難というものを、少しは味わえば良い。