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 年末年始をダラダラ過ごし、休みに慣れてしまった体には、3学期の始まりは少ししんどい。

 1月を何とか乗り切って、2月。
 バレンタインデーの日に、愛花ちゃんは手作りのチョコレートを持ってきた。


 生徒会の男子メンバー1人ずつに、個別に用意されたチョコは可愛らしくラッピングされている。メッセージカードも添えられているようだ。

 愛花ちゃんは恥ずかしそうに、「自宅で開けて下さい。」と言っていた。


 それとは別に、気のきく愛花ちゃんは、生徒会室で皆で食べる分まで、作ってきてくれた。
 色とりどりのトッピングがなされたトリュフに、生チョコ、クッキー、どれもとっても美味しそう!


「お前からは。」

 杵築が、かつあげのごとき迫力で、こちらを見る。


――うう。

「……私は、こういうイベントに縁がなくて。今日がバレンタインデーということも、忘れてました。」


「ハハッ。お前には、期待してないわ。」
「あなたらしいですね。」

 三杉と羽村。どういう意味だ。


「黒瀬さんも、遠慮なく食べてね! そのためにたくさん作ってきたの。」
「ありがとう……。」

 愛花ちゃんは、相変わらず天使のようだ。


 遠慮なくトリュフを口にすると、本当に美味しい!

「美味しい〜。」

 もう一個頂こう。
 ……さらに、もう一個。
 うう、さすがに、これ以上は食べすぎかな。


「……美味しい。」
「月乃さんは、女子力が高いですね。」

 他のメンバーの愛花ちゃんに対する好感度は、着実に上がっているようだ。