「いや、だって……、将来何があるか分からないから。ほら、人間関係とか、家が破産するとか……。」


「「はぁ?」」

 皆が声を揃えた。


「お前が。人間関係で進学断念とか、ないだろ。」

 三杉が、呆れた顔をしている。


「それほど近い将来に、黒瀬グループが破綻することは、考えられませんね。」
 
 羽村は、淡々とコメントした。


「王明にしとけ。――将来何かあっても、何とかなるだろ。」
 
 杵築は、適当なことを言っている。


「そうですね……。考えてみます。」


 私を王明から追い出す可能性があるのは、このメンバーなんだけど。

 いつの日か、そのときが来たら。
 彼らが、今日のことを思い出して、温情を見せてくれることを願った。