─animaTane─ドレミ

「まだミカエル、キミには理解し難い現実だ」


またミカエルを見つめるサンの眼差しが寂しげになり、ミカエルは受け入れると覚悟した現実があまりにも残酷で言葉を失っていた。そんなミカエルにサンはカプセル内の亡くなった両者を眺めて語り出す。


「この両者。キミのママ、キャサリンとみゃあは懸命に生きた挙げ句に亡くなった。キミのママ、キャサリンは農村からベルリンまで食料が持たないことを知っていた。だから農村からキミには食べるふりを装い、おおよそ30日の道中を重い袋を持ち、キミのためだけに食料を食べず、空腹で眠るように餓死した。後にみゃあとの生活が始まったキミだが、盗みで生計を立て、それが店主に気づかれた。そして、たまたま独りで魚を盗もうとしたみゃあは腹部を包丁で刺された。しかし、まだ辛うじて生きていたが、しかし、みゃあに摂理の鉄槌が下る。傷口からウジが湧き、血の臭いに反応したカラス達がみゃあを食べ物と認識したのだ。結果、両者は蘇生不可能な状態になった。これが現実だ。死んだものは生き返らない。たとえ過去に還ったとしても同じ死にかたをするかもしれない。生きていた命の重さや大切さは人それぞれ違う。キミにとっての両者は大切で計りきれない尊い命だった。それはキャサリンもみゃあも同様とも言える。しかし、命は時としてあっさりと奪われる。生きるものはいずれ死ぬ、それは自然の摂理であり、変えようのない現実だ。だが、俺はそれを正しいとは思わない。もちろん、間違えだとも思っていない。しかし、変えたいのだよ、この世界を。理想と夢に。かつて世界が始まって間もない頃、その世界には弱肉強食もなければ、自然の摂理もなく、争いもなかった。人や動物や植物は夢のように命の奪い合いもせずに生活してたという。俺はその世界が実現可能と見ている。誰もが大切な存在のいる毎日を送ることの出来る永遠の幸福の世界だ」