サンは黙ってきいていた。
「キミは私を恋愛対象として見てないこともわかっていた。でも、なぜかな?生きてる間に直接言えば良かったって思ってる」
コトノの全身が徐々に透けていく。もう掴めない。触れられない。
コトノは悲しみに浸るサンの唇に消え行く前にキスをした。そして──────────「好きだよ、サン。ずっとずっと。私のこと忘れないでね、きっとまた逢えるから──────」
「コトノ!!!」
涙を一筋流し、コトノに手を伸ばすが既にコトノは消えていた。
その涙の雫が伸ばした左手に落ちた。
サンは伸ばした手を握り、「コトノ。。。」と強い怒りを覚えた。コトノを殺した犯人に。
それは憎しみだった。
╋╋╋╋╋
コトノを呼び、目が覚めた。周りでは他の孤児達が眠りについている。薄闇の中、夢の中で、コトノに手を伸ばした左手の甲を見た。息遣いが争い中で薄闇には赤色の輪が手の甲に浮かび上がっていた。
これは───────────そう、サンが良く知るあの本のマイナスの赤色の輪ではないだろうか。
事態が飲み込めないが、サンはあの本をまた読もうと考えていた。
突破口があるかもしれないという淡い気持ちからだった。
左手の赤色の輪を見て、これはコトノが与えてくれた何かだと思えてならなかった。

