画面に映った秋希は、病室、それもベッドの上にいる。

 半年前と変わらないように感じたのも束の間、前よりも痩せていることに気付いた。


理桜(りお)ちゃん、久しぶり。驚いた?』


 理桜の混乱なんて無視して、秋希は手を振っている。

 その笑顔も声も、あまりにも記憶通りで、嬉しいような切ないような、いろいろな感情が混ざりあって、涙が込み上げてくる。


『理桜ちゃん、怒ってるだろうなあ……と思いつつ……言いたいことがあったので、動画を撮ってます』


 すると、秋希は視線を上下に動かして悩み始めた。


 そんな秋希を見て、理桜は笑い声をこぼした。


「なに?」


 その声、その表情は、まだ秋希が好きだと物語っている。


『……ダメだ、言いたいことがありすぎる。よし、一番伝えたいことだけにしよう』


 秋希は名案と言わんばかりに、人差し指を立てて腕を伸ばす。

 そして、優しすぎる笑みを浮かべた。


『理桜ちゃん、僕と出会ってくれて、ありがとう。理桜ちゃんと出会って、理桜ちゃんを好きになれただけで、僕は生まれてよかったって思える。もし、人生で誰かを好きになるための気持ちに限りがあるなら、僕の気持ちは、全部理桜ちゃんのものだよ』