君を愛していいのは俺だけだ~コワモテ救急医は燃える独占欲で譲らない~

 待ちに待った仕事復帰の日を迎えた。

 菜乃花は朝からウキウキと支度をし、三浦の車で図書館まで送ってもらった。

 「くれぐれも無理しないように。帰りはタクシーを使ってね」
 「はい、ありがとうございます」

 車を見送ってから、菜乃花は足取りも軽く館内へと向かう。

 「おはようございます!」
 「鈴原さん!」「菜乃花ちゃん!」

 館長と谷川が笑顔で近づいてきた。

 「久しぶり!あーもう、本当に心配したのよ。身体は大丈夫?」
 「はい、すっかり元気になりました」
 「そうか。でもまだ無理はしないで。重い本は運ばないでね。カウンターに座って作業してくれていいから」

 谷川と館長の気遣いに礼を言って、菜乃花は久しぶりの仕事を楽しんだ。

 水曜日になると、長らくお休みしていたおはなし会を再開する。

 子ども達は、なのかおねえさん!と笑顔で声をかけてくれ、母親達は、大丈夫だったの?と心配してくれた。

 そんな日々に菜乃花の心は明るくなり、復帰後1週間が経ったのを機に、菜乃花は三浦に話を切り出した。