カフェでランチをしたり、気になるお店を覗いたり、二人で気ままに休日を楽しむ。

菜乃花はせめてものお礼として、颯真にマフラーと手袋のセットをプレゼントした。

「ありがとう、菜乃花。大切にするよ」

颯真の笑顔に菜乃花も嬉しくなって微笑む。

夜は、初めて二人で食事をしたトラットリアに行く。

「なんだか懐かしい。1年ぶりですね」
「そうだな。あの時の菜乃花は、確かすっぴんだったんだよね」
「うっ…、忘れてください」
「どうして?菜乃花はすっぴんでも充分可愛いと思ったよ。ほっぺがつるんとしててモチモチで」
「ええ?!そんな、赤ちゃんみたい」
「確かに赤ちゃんだな、菜乃花は。あはは!」

大笑いする颯真に、そんなにおかしい?と菜乃花は眉根を寄せていた。

「菜乃花と出逢って1年か…。色々あったな」

ようやく笑いを収めると、颯真はしみじみと呟く。
菜乃花も頷いて、様々な出来事を思い出した。

辛い時期もあったし、たくさん悩んで涙した。
だからこそ、今こうして二人でいられることを心から嬉しく思う。

「菜乃花と過ごすこの時間が、奇跡のように感じるよ。当たり前だと思わずに、これからもずっと俺は感謝する。菜乃花がそばにいてくれることを」
「私もです。颯真さんといられる幸せを、この先も感謝しながら過ごしていきます」
「やっと菜乃花をこの手に掴めたんだ。二度と離さないよ。必ず俺が君を守っていく」

菜乃花は照れたように微笑んで、はいと頷く。

二人の間には目に見えない確かな絆が生まれていた。