「改めまして、有希さん、先輩。瑞樹くんのお誕生おめでとうございます」
「おめでとう、春樹、有希さん」

菜乃花と颯真がグラスを掲げると、二人は笑顔で礼を言う。

「ありがとう!菜乃花ちゃん、颯真先生」
「二人ともありがとな。いやー、結婚式から1年足らずで瑞樹が生まれて、俺ホントに嬉しいよ」

ワインをごくごく飲み、饒舌になった春樹ののろけは止まらない。

「綺麗な有希と結婚出来て幸せだーって思ってたら、まさかのハネムーンベビーまで授かって!」

菜乃花は思わずワインにむせて顔を真っ赤にする。

「大丈夫?菜乃花ちゃん」
「は、はい。大丈夫です」
「ちょっと春樹!止めてよ、私まで恥ずかしいじゃない」

有希が咎めるが、春樹は上機嫌で更に語り始める。

「なんでだよ?結婚っていいぞ。颯真もさ、いい加減身を固めろよ。俺達来年には30だぞ?家庭を持ってこそ男は仕事にも邁進出来るんだ」
「春樹ったら!ごめんね、颯真先生。聞き流して」
「いや、春樹が幸せそうで俺も嬉しいよ」

すると春樹はガバッと颯真に抱きついた。

「颯真ー!サンキュウー。俺もお前の幸せを願ってるからな!」
「う、あ、ありがとう」

苦しそうに身をよじりつつ颯真は苦笑いする。

その後も春樹のご機嫌トークは止まらない。
颯真に相手を任せ、有希と菜乃花はソファに場所を移した。