君を愛していいのは俺だけだ~コワモテ救急医は燃える独占欲で譲らない~

 「おお、なかなか雰囲気がいいね。オシャレというよりはちょっと無骨な感じで」
 「ええ。夜は照明も控えめで、また違った雰囲気になりますよ」
 「そうなんだ。じゃあ次回は夜に来よう。ランチメニューは何がオススメ?」
 「ここのリゾットは特に美味しいです。半分に切った大きなチーズにリゾットを入れて、目の前で仕上げてくれるんです」
 「へえ!じゃあそれにしよう。あとは、サラダとピザと…」

 何品かオーダーしてスタッフが立ち去ると、菜乃花はおずおずと顔を上げる。

 「あの…。少し失礼して化粧室に行ってもよろしいでしょうか?」
 「ん?ああ!そうだったね。もちろん、どうぞ」
 「すみません。変わり映えはしませんが、一応身だしなみとして…」
 「あはは!そんなことないから。どうぞごゆっくり」
 「はい、失礼します」

 菜乃花は化粧ポーチを手に立ち上がった。