執事科一年の鷹見悠琳くんは、まだ入学して二か月しかたっていないのに、人気ナンバーワン執事と言われている。

二年生や三年生にもかっこいい人はたくさんいるのに、そんな人たちを差し置いての人気ナンバーワン。


でも、そう言われる理由はすごくよくわかる。


だって、アイドルっぽいルックスもさることながら、執事としての立ち振る舞いがすでに完璧だから。

姿勢、歩く姿、所作。執事科との合同授業では、いつも手本として先生に指名されている。

非の打ちどころのない天才。本物の執事さま。


そんな彼がお茶会の場で十和田さんにたてついて、わたしの手を取って連れ出す。とにかく、わたしには信じられない状況だった。



S城学園の校舎は、お金持ち学校と言われるだけあって、学校とは思えないくらい豪華。

とにかくお城みたいなんだ。


シャンデリアや大きな階段、複雑な模様のじゅうたん。

十和田さんの言いつけで何度も足を踏み入れたけど、そのときは内装の美しさに目をとめている暇はなかった。