「キャー」
「…………」
となりの席の子が小さく悲鳴を上げる。
十和田さんは、なにが起こったのかわからないようすで、ぼうぜんとしている。
自業自得……だけど。
「これ、使ってください」
わたしは反射的に立ち上がって、ひざにしいていたナプキンを差し出した。
なんとなく、十和田さんの今の気持ちがわかる気がする。
わたしも、一回目のお茶会のときに十和田さんに水をかぶせてしまって、頭がまっしろになったんだ。
今までいがみ合っていたとしても、この場合はおたがいさまだ。
けれど、わたしの言葉にはっとした十和田さんは、わたしの手をはらった。
「い、いらないわよ! あんたなんかの──」
「十和田さん」
彼女の言葉をさえぎるように、おだやかな声が割って入ってきた。
カツカツと革ぐつを鳴らして、理事長が近づいてくる。
十和田さんの言葉をさえぎったのは、理事長だった。
「品位は人から教えてもらうものではなく、自ら学ぶものだと思ってなにも言ってきませんでしたが」



