執事さまはメイドちゃんに夢中♡


すると、その横顔がこっちを向いた。


「あら、貧乏人さん。なにかしら?」

「いえ……」

「今の話を聞いて、文句でもあるのかしら?」

「…………」


十和田さんと関わってもいいことはない。わたしは体の向きを戻した。

けれど、背中を向けても十和田さんの口撃は止まらなかった。


「よく、『親の財産のくせに』なんて負け犬のとおぼえをする貧乏人がいるけど、使えるものはなんだって使うのが賢いやり方よ。まあ、貧乏人はなにも持たないから、ほえるしか脳がないのでしょうけど」


ふんと鼻を鳴らして、十和田さんが向きを直ったような気がした。


文句があるわけじゃない。

十和田さんがなにをしようと文句は言わないし、なにを言われようと気にしない。

となりの席の奏音ちゃんも、


「あんなの無視無視」


と口をぱくぱくさせている。

気にしないのが一番なんだ。


でも。


わたしは立ち上がって、十和田さんのうしろに立った。

十和田さんが、


「なに?」


けげんな顔を向けてくる。