見ると、裏口を出たところで、二匹のハトと宮戸さんが対峙していた。

ハトのほうは、あきらかに警戒心を強めているのにたいして、宮戸さんはハトの鳴きマネをしながら歩み寄ろうとしている。

なにやってんだ……?


「あっ……」


宮戸さんがにじみ寄った瞬間、ハトがバサバサと羽を広げて飛び去ってしまった。

残念そうに肩を落とす宮戸さん。


なにがやりたかったんだよ、彼女は……。

俺は無意識に笑みをこぼしていた。


「宮戸さん」

「っ!」


うしろから声をかけると、宮戸さんは驚いたように肩をビクッと跳ね上げた。


「鷹見くん! いつから、そこに……?」

「宮戸さんが、ぽっぽ言いながらハトに近寄ろうとしてたところ」


宮戸さんの顔が、かあーっと熱が出たみたいにまっかになる。

わかりやすくて、おもしろい。

さっきまであんなにイライラしてたのに、宮戸さんを見た瞬間、おさまった。


「それじゃあ」


照れを隠すようにさっさと立ち去ろうとする宮戸さん。

俺は、すかさず手をつかんで引き止めた。