あー、くそっ。すっげえイライラする。

なんだよ、あれ。俺の前で楽しそうにしてさあ……。

これまでも一緒にいるところを見かけたことがあるし。

つき合ってないって言ってたけど、仲いいのは確定だろ。


それに……。


『永遠くん』

『璃衣』


下の名前で呼び合って。

どういう関係なんだよ。


つうか、なんで俺はこんなにイライラしてるんだ?

なんか知らないけど、めちゃくちゃむかつく……。


意味不明なイライラは、放課後までおさまらなかった。





放課後。執事科のクラスメイトが次々と教室を出ていくなか、俺はぼーっと座ったまま。

最後のひとりになって、ようやく重い腰を上げた。


ふと、教室の窓に目をやると、校舎の前で群れをなすS学生が視界に入った。

俺待ちなのだろう。面倒くさい。

はあ……やる気も出ないし。


執事科の何人かで、駅前のカラオケに行くと言ってた。

いつもは誘われてもことわるけど、気晴らしに行こうか。


表口はS学生がいるので、裏口にまわる。すると──。


「ぽーぽっぽっぽっ」


へたくそなハトの鳴きマネが聞こえてきた。