あー、くそっ。すっげえイライラする。
なんだよ、あれ。俺の前で楽しそうにしてさあ……。
これまでも一緒にいるところを見かけたことがあるし。
つき合ってないって言ってたけど、仲いいのは確定だろ。
それに……。
『永遠くん』
『璃衣』
下の名前で呼び合って。
どういう関係なんだよ。
つうか、なんで俺はこんなにイライラしてるんだ?
なんか知らないけど、めちゃくちゃむかつく……。
意味不明なイライラは、放課後までおさまらなかった。
◇
放課後。執事科のクラスメイトが次々と教室を出ていくなか、俺はぼーっと座ったまま。
最後のひとりになって、ようやく重い腰を上げた。
ふと、教室の窓に目をやると、校舎の前で群れをなすS学生が視界に入った。
俺待ちなのだろう。面倒くさい。
はあ……やる気も出ないし。
執事科の何人かで、駅前のカラオケに行くと言ってた。
いつもは誘われてもことわるけど、気晴らしに行こうか。
表口はS学生がいるので、裏口にまわる。すると──。
「ぽーぽっぽっぽっ」
へたくそなハトの鳴きマネが聞こえてきた。