しかし、その後の合同授業で見せた宮戸さんは、とても泣いていたときの女の子とは別人だった。


接客は不慣れなようだけど、理解がはやいし、ほかの人の動きを見て最善の行動を取る。

彼女がいるのといないのとでは、チームワークのよさに差が出ていただろう。

涙の印象が強かったが、普段はしっかりしているのだと知った。


ひとりでもうまくやれる自信はあったが……チームメンバーに恵まれたな。


そして、俺が接客シミュレーションで見られるポイントは、お客さまとスタッフの動きを把握できているか。つまり、視野の広さを持っているかだ。

そのときの最適解でなくても、スタッフをうまく動かせたらそれなりの評価を得られる。

点ではなく集合体で見るとはつねづね父から言われていたので、わりと俺の得意分野だった。


……最後のハプニングカードが投入されるまでは。


コースのデザートが提供できない、なんて……なかなかえぐいことを考える。