「簡潔でよろしい。花嫁はついでだよ」
「それと、入るならこっちがいい」
俺はM学の執事科を指さした。
「ホワイ?」
「こっちのほうがおもしろそう」
「イエス! ユーリがそれでいいなら手配しよう」
「いや、ちゃんと受験して入るよ」
「けっこう難しいらしいぞ?」
「自分の力で入らなきゃ意味がない」
そうして俺は、難関と言われていたM坂学園の執事科をトップの成績で合格し、無事に入学を果たした。
しかし、入ってみればなんてことない。
執事科は思ったよりもおもしろくなかった。
目新しい科目があると期待していた授業は、すでに教えてもらったことばかり。
クラスメイトも、少数精鋭の優秀ぞろいなのでプライドの集まり。とにかくライバル意識が強い連中ばかりだった。
そうじゃないやつらもいて、そいつらとなかよくなったが、だから楽しくなるようなことはなく……気がつけば、入学して二か月の月日がたっていた。