でも、感じ悪かったかなと思い直して、ふたたび視線を戻すと、彼はもうこっちを見ていなかった。
そのまま女の子たちのさわがしい声を浴びながら、校舎へと消えていってしまった。
今の、執事科の鷹見悠琳くんだよね?
トップの成績で入って、入学後もすごい成績を残してるっていう……。
頭がよくて運動神経もよくて、武術や芸術に秀でているらしい。
それに加えて、大人っぽいルックス。かっこよくて、うちのクラスの女子が毎日うわさしてる。
本当にかっこよかったなあ。
ちょっとこわそうだったけど、絵に描いたみたいにキレイな顔立ちをしてた。
ピコンとメッセージが入った。
【まだ?】
わあ、こんなところで立ち止まってる場合じゃない!
わたしは走り出した。