「つうか、璃衣も動け」
そ、そうだった……! ぽっとしてる場合じゃない!
わたしもキビキビ動かないと。
そうして、わたしたちグループMは、ハプニングにも落ちついて対応しながら、協力して接客を進めていった。
そろそろ終わりかな? と思ったところで、たぶん最後のハプニングカードが投入された。
「あ、あの……問題が発生しました」
奏音ちゃんが言いにくそうに鷹見くんに話しかける。
「なに?」
「え、ええと……『和食コースのデザート六人分を落としてしまう。余りなし。提供できない』です」
ハプニングは、普通はお客さま役から口頭で指示があるはず。なのに、奏音ちゃんは持っているカードをわざわざ読み上げた。
「え?」
メイド科のみんなが、あっけにとられたように声をもらした。
「そんなハプニングもあるの? どうして……」
あまりの驚きで言葉が続かない。
ほかのグループのときはホテル側のミスのようなハプニングはなかったのに。



