本当は各グループに執事科は二人なんだけど、執事科は奇数だから、どうしてもひとりになってしまうグループがあるの。

それが、わたしたちのグループM。

つまり、鷹見くんはひとりでメイド科の六人に指示を出さなくてはいけないんだ。


大変そう……と思ってたんだけど。

さすがは鷹見くんだった。

あっというまにお客さまの部屋番号と人数、名前を覚えて、わたしたちに的確な指示を出してくれる。


「208号室の伊藤さまからお部屋の移動を頼まれたのですが……」

「理由は?」

「ええと、間取りが気に入らないのと、息子さんがもっと上の階がいいそうです」


奏音ちゃんが鷹見くんに指示をあおぐ。

きっとこれ、ハプニングカードだ!


「わかった。それなら五階の──」


鷹見くんはものともせずに指示を出す。


「……すげえな」


永遠くんがぼそりとつぶやいた。


「うん、ほんとにすごい」


頭がたくさんあるみたい。

記憶力もいいのに、頭の回転がはやくて適応力もあって。マンガやドラマで見る本物の執事さまみたい。