お父さん、ごめんなさい……。

いそがしいなか、お父さんが時間を見つけて書いてくれた手紙、やぶれちゃった。

お父さんからの手紙は大切にするって約束したのに、大切にできなかった……。

ごめんなさいっ。


ふいに、大きな手が、うつむくわたしの頭に触れた。


「つらかったな」


やさしく、ぽんぽんと二回叩く。

子どもを寝かしつけるときのような、やさしいリズム……。


「、うぅ……っ」


息を殺すように泣いていたわたしは、声を抑えられなかった。

お父さんとは違う男の人の手になでられて、ドキドキするのに、とても居心地がよくて。

無理しないでいいよって言われている気がした。


「手紙は俺が直すから、宮戸さんはさきに顔と頭をふきな」


鷹見くんはそう言うと、いつのまにかずり落ちていたタオルをわたしの頭にかぶせて、となりに座った。

わたしはぐすんと鼻をすすり、


「ありがとう」


真剣な表情で手紙のパズルを組み立てていく鷹見くんにお礼を言った。