「由真は私を八島くんのお姉さんに任せて猛勉強してたけどさ、仮に南高に受かったとしても、その後の勉強絶対ついていけなくなるよ、絶対に後悔するよ!」


 一番したくない後悔ならもうしたから。
 この後の未来がどうなろうと、八島くんが生きている世界で生きていける私は、幸せ者に決まっている。


「私の心配より、由衣は自分の心配した方がいいんじゃない? 真人くんのお姉さん、もう勉強見てくれないんだし」

「八島くんのお姉さんに勉強見てもらえるようになったら八島くんにも近づける口実ができるしラッキーって思ってたのに、由真が八島くんとくっ付くんじゃさすがに笑えない。八島くんのお姉さんも私に勉強教えながら由真のことばっかり心配してたし。あんなんじゃ家庭教師になれっこないでしょ」

 教えてもらったのにあんまりの言い方をする由衣。

 私も真人くんのお姉さんに勉強を教えてもらったことが何度かあるが、とても分かりやすかった。

 言っていいことと悪いことの判別もつかない、自分の欲の為に相手を利用する由衣が赦せない。