「八島くんならあそこの席だよ」


 窓際に座って本を読んでいる真人くんを指差すと、由衣はためらうことなく向かっていった。そして、「八島くん!」と、真人くんにキラキラな笑顔を向ける。


 真人くんは読んでいた本を置き、由衣に顔を向けた。


「ああ、えっと……由真の双子の鎌田さん?」

「由衣です! 由真のこと呼び捨てにしてるなら、私のことも呼び捨てでいいから! 八島くんのお姉さんが家庭教師に来てくれることになって、迷惑たくさんかけちゃうかも! 八島くん、心配してくれてありがとね?」

「いや、俺はただ由真の心配しただけだから。姉ちゃん教えるの上手いとおもうし、鎌田さん、遠慮なく聞いていいから」

「鎌田さんじゃなくって由衣でいいってばー!!」



 真人くんにベタベタする由衣を見て確信した。


 ……やっぱり。

 普段の由衣を知ってるから分かる。


 ……由衣は真人くんのことが好きなんだ。