「でも鎌田さんのご両親、反対されてるんだよね? 双子の鎌田由衣さんと一緒の高校に行けって」

「……うん、そう」

「俺も鎌田さんと一緒の高校に行けたらいいなって思うから、行かせてもらえるように説得しようか?」


 どことなく嬉しそうに問いかけてくる八島くん。

 私を家に送りなんてしたら、八島くんが事故に遭ってしまう。


「大丈夫、一人で親を説得するから八島くんは家に帰っていいよ」

「……で、でも、言ってみたけどダメだったから悩んでたんだろ?」


 八島くんの言うとおりだ。
 今までの私は何度か言っただけですぐに諦めていた。でも、あの日、ああいう出来事になってしまった私は、親が、由衣が、なんて言っている場合ではない。


「八島くん、私頑張るから。もし難しそうだった時はまた……相談乗ってくれる?」


 そう聞いてみると、八島くんは嬉しそうに「うん」と首を大きく振ってくれた。

 八島くんのこんな笑顔……見たのは初めてだ。

 嬉しくて胸がいっぱいになる。その笑顔を見ながら目に涙を溜め、八島くんと一緒に図書室を出た。