普段の学校生活において、誰とも喋らず、窓を眺めたり、読書をしたりしている真人(まさと)くん。

 そんな彼の私にだけ向けられている、優しい笑顔が大好きだった。

 「じゃあまた明日、バイバイ」

 そう告げて別れたその日の夜に真人くんは命を落とした。

 「大好き」そう告げることができないまま、真人くんはこの世からいなくなってしまった。


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「皆さん、落ち着いて聞いてください。昨夜、八島真人(はちじままさと)くんが亡くなりました」


 朝のホームルームで担任の小林先生は私達生徒にそう告げた。


 先ほどまでうるさかった教室は一変、静けさだけが漂っていて、時計の針がチクチクと教室内に響いた。