ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。

☆☆☆

午後からの仕事中も相変わらず部長からの視線を感じていたけれど、どうにかやり過ごして終業時間が来ていた。
日奈子はデスクに座った状態で両手を大きく突き上げて伸びをする。

仕事から開放されるこの瞬間が好きだった。
気の早い社員たちはすぐに荷物をまとめてさっさと部屋から出ていっている。

日奈子も送れまいとそれに続いた。
のんびりしていると、まだ部長から声をかけられるかもしれないという心配もあった。

女子更衣室で着替えをして無事に外へ出ると寒さに首をすぼめた。
季節はまた一歩前進したようで冷たい風が吹いている。

もうすぐ12月になればホスト店もきらびやかな装飾に変わる。
店の前には大きなクリスマスツリーが出現し、クリスマス当日にはキャストたちがサンタクロースの格好をする。

「クリスマスイベントの日は絶対にお店に行きたい」
由利との約束場所へ向いながらつい口に出して呟いていた。