男は苦笑いを浮かべて「ここで、君くらいの年齢で3万円は高いんじゃない?」
「そ、それは……」

そうだとわかっていたから反論できなかった。
日奈子は相手の着ているもの、持っているものを見て値段を決めている。

この男にはお金があると思ったから、最高額の3万円を提示したのだ。
「そこの子なんて1万5千円だって言ってたよ」

日奈子から少し離れた場所に立つ若い女のコを指差して男は言った。
日奈子が提示した金額よりの半値だ。

それなら黙ってそっちに行けばよかったのにと、日奈子はムッとして男を睨みつけた。
こういう仕事をしていると、時々女のコを茶化したりバカにするためだけに声をかけてくる人がいる。

この男もそのタイプみたいだ。
「君が3万なんて無理無理」

男は声を上げて笑いながらその場を去っていったのだった。