「日奈子はなにか予定があるのか?」
休日前夜の部屋で並んで映画を見ていると光がそう質問してきた。

実家に戻ろうかとも考えていたけれど、派遣の仕事をやめたことを両親にはまだ伝えていない。
いつか言わなきゃと思っているのだけれど、まだその勇気はもてていなかった。

だから実質、この三連休に日奈子の予定はなにもなかった。
「それなら俺と一緒に京都へ行こう」

「京都?」
「あぁ」

「何人で?」
てっきり店の嬢たちと一緒だと思っていたけれど、光は「ふたりでだ」と、答えた。
その瞬間日奈子の頬がボッと熱くなる。

光とふたりきりで京都。
それでデートということだろうか。