幸い1日寝込むだけですぐに治ったけれど、光はほとんど店に顔を出すこともなく看病してくれた。
『大切なキャストだからだ』

と言いながらも、その渾身的な看病っぷりは少し目を瞠るものがあった。
光と出会ったときの日奈子がガリガリ過ぎて心配しているのかもしれないが、今は日奈子の頬もふっくらとしてきている。

少し風邪を引いたくらいでそれほど心配しなくてもと思う。
「あ、あの本当に大丈夫だから離れてくれない?」

まだおでこをくっつけていた光へ向けて言うと「あぁ、そうか」と、ようやく体を離してくれた。
日奈子はほぅっと息を吐く。

「最近距離感おかしくない?」
「そんなことない。別に普通だ」