「ありがとう。ヒナちゃんは優しい子だね」
ふっと脱力するように笑った丸太さんにヒナの心が跳ねる。

ヒナんの気持ちがわかってくれたんだろうか。
それから丸太さんは仕事の話をやめて、趣味の話しに没頭しはじめた。

ヒナはそれを笑顔で相槌を打ちながら聞く。
「こんな大物が釣れたんだ」

「さすが丸太さん! そんなに大物が釣れたんですね!」
「今度の休みには久しぶりにボートを出して釣りに行くんだよ」

「いいなぁ。また大物を釣り上げてくださいね」
丸太さんをお見送りするとき、ヒナはチップをもらった。

そのチップは初めてもらったチップの二番目に大切なものになり、お守り袋の中に入ったのだった。