そう言われてゾッとした。
お気に入りの嬢が来る前に怒って帰らせてしまうなんて、絶対にやってはいけないことだ。

あのお客さんがヒナの話しに根気強く付き合ってくれたからこそ、嬢が戻ってくる時間まで店にいてくれたことになる。
ようやく、自分がしでかしてしまったことに気がついてヒナは青ざめた。

「わ、私、あのお客さんに謝ってくる」
「もうやめとけ」

店へ戻ろうとしなヒナを光は引き止めた。
そして大きなため息を吐き出す。

「お気に入りの嬢が機嫌を直したところなんだ。お前が出ていけばまた機嫌が悪くなるかもしれない」
光の冷たい言葉にヒナはなにも言えなくなってしまったのだった。