紫苑くんとヒミツの課外授業



「はぁ、はぁ……っ」


何も考えずに私が走って向かったのは、通い慣れた祖母の家。

だけど、辺りが暗くなってもそこは明かりがついておらず、真っ暗で。


──ピンポン、ピンポン!


私が門のそばのインターホンを何度鳴らしても、一向に応答はなくて。


「おばあちゃん、おばあちゃん……! ねぇ、出てきてよぉ」


私は、祖母の家の前で膝から崩れ落ちる。


「……うぅぅぅ」


ああ……祖母は本当にもういないのだと、痛感させられる。


「ねぇ、おばあちゃん……私、ママにいないほうが良いって言われちゃったよ」


夜空を見上げると、星がいくつも瞬いている。

祖母が亡くなってから、私は無意識に空を見上げることが増えた。


「私……もうどうしたら良いのか分からない」


自分なりに、勉強を頑張ってみてもダメで。


聖来やクラスメイトには、バカにされるし。


そんな私に教室で声をかけてくれる子は誰もいなくて、学校でもひとりぼっち。


祖母がいなくなってからは、母の私への風当たりはより一層強くなって。

ついには、いないほうが良かったとまで言われてしまった。


「……っく」


私の目からは、涙がとめどなく溢れる。


家にも学校にも、どこにも自分の居場所なんかなくて。


「誰にも必要とされてなくて。この先、生きてる意味なんてあるのかな……」