「まさか、僕なんかが聖来さんのような可愛い人にそんなふうに言ってもらえるなんて」
「 “ 僕なんか ” なんて言わないで下さい。シオンさまは北条財閥の御曹司で、お顔もすっごくかっこいいんですから」
「本当に? 嬉しいなぁ」
聖来の手に、シオンさんが自分の手をそっと添える。
「実は僕も……今日一目見たときから聖来さんのこと、素敵な方だなって思っていたんです」
うそ。聖来とシオンさんが両想いだなんて。
ああ。やっぱり聖来はいつでも、自分の欲しいものを手に入れられるんだ。
可愛くて、優秀で。器用で、何でも上手くこなして。ママにも……可愛がってもらえて。
そのうえ自分の好きな人とも、簡単に両想いになれる。
このとき私は初めて、聖来のことが羨ましいと思ってしまった。
「まあ、シオンさま。本当ですか!?」
感激して泣きそうになっている聖来の顔に、シオンさんの整った顔がゆっくりと近づく。
「はい、本当ですよ。だから、今すぐ僕の婚約者候補になってくれませんか……なんて、言うとでも思った?」



