「まあ、パパ。そのお話、本当なの!?」


少し離れたところで黙って話を聞いていた聖来が、父に食いつく。


「ああ、本当だよ。パパとしても、もし自分の娘をあの北条のお相手に選んで頂けたら……水瀬にとってこれ以上光栄なことはないと思っている。だから、咲来」

「はい」

「お前も明日、必ずパーティーに出席するように。分かったか?」

「はい……分かりました」


今はまだ中学2年生の私にとって結婚とか、大財閥の御曹司の婚約者候補とか。そういうことは全く興味がないけれど。


この家で、父の言うことは絶対だ。


だから、私がパーティーに出席することに母は不服そうな顔をしつつも何も言わないし、私もただ大人しく「はい」と言うしかなかった。


「わたし、絶対に北条さまのお相手に選んで頂けるように頑張るわ」


一人やる気になっている聖来を横目に、私は小さくため息をついた。