その日の夜。
夕食後、私は父に「話がある」と家のリビングへと呼ばれた。
多忙な父と話す機会は最近ほとんどなくなっていたから、私は少し緊張しながら父の向かいのソファに腰をおろす。
「あの、パパ。お話というのは……?」
「ああ。急で悪いんだが、明日の北条財閥主催のパーティーに、咲来お前も出席しなさい」
……え?
「ちょっと、あなた。何をおっしゃっているの? パーティーは、聖来だけで良いじゃないですか」
近くにいた母が、大きな声を出す。
「母さん、何もそんな大声を出すな。北条財閥のご当主から、パーティーはぜひとも双子の娘二人に来て欲しいと言われたんだ」
「そう。当主の方が……」
父の言葉に、母がようやく口を閉ざす。
「それに……明日のパーティーで北条財閥のご当主が、出席した令嬢の中からご長男の婚約者候補を選びたいとおっしゃっているそうでな」



